「開町三十年紀年　岩見沢繁盛記」　より　図書館にありました　(大正四年発行)

附録　岩見澤商工家新地図略図　(PDF形式です。赤い四角をクリックすると、画像が表示されます。

岩見沢町　今井呉服店　　電話十五番  岩見沢町　安井呉服店　電話三十三番

空知支庁長　　稲見　貞蔵　氏　　　　岩見沢町長　高柳　広蔵　氏　

鉄道院岩見沢工場長　　林　清憲　氏　　　岩見沢警察署長　成田　本一　氏　

岩見沢駅長　野田　信櫂　氏　　　　岩見沢神社　　　北海道庁空知支庁　　

岩見沢警察署　　　岩見沢郵便局　　岩見沢鉄道院工場　

岩見沢北海道庁立空知農業学校　　　岩見沢停車場プラットホーム

岩見沢停車場前通り　　　「岩見沢町」夕張通り

岩見沢停車場通　　岩見沢町　柿本恒二商店　電話二十二番

岩見沢町　山口由太郎商店　電話五番　　　岩見沢町　吉田忠次商店　電話二十二番　

岩見沢町　九里時計店　一条西二丁目 　　　　　　岩見沢町　牧病院　電話四十三番　

岩見沢町　紅葉亭　電話十七番　　　岩見沢町　北海製材精穀株式会社　電話一三一番

岩見沢町　小松家　　　岩見沢町　明了寺　　岩見沢町　東慚寺　

岩見沢町　願王寺　　　　　岩見沢町　喜楽　　

写真師　秋山努(右)　写真師　松原　惣四郎(左)　　　　岩見沢町川向　川端梅作商店　

岩見沢町　(唐箕製造元)　丸一　三栖咲蔵　　　　岩見沢町　名花政勝 　

　　　岩見沢町二条一丁目 萬桶製造業　　　　岩見沢元町　楠原商店　　　

　岩見沢温泉　玉泉館 　　　岩見沢町　村元呉服店　電話五十二番　

岩見沢町　由楽館　　　　　岩見沢町七条西一丁目　石黒銃砲店

以下抜粋。

序

岩見澤町は石狩平原の中央空知支庁管内二十五ヶ町村中に於ける開拓の先駆地として、開村以来年を閲すること三十有一、其間盛衰の迹なきに非ずと雖も今や耕地面積九千〇三五町、戸数三千八百三十六戸、人口二万一千三百三十人に達し、支庁あり、警察署あり、税務署あり、農業学校あり、管内政令発布の地として其他事業の見るべきもの少しとせず而も鉄道四通して交通至便の要衝たること全国に冠たり、其既往を顧みて将来の進歩発展を考察するは吾人の急務なりと信じ　御大礼紀念亜に開町三十年を紀念せんが為（岩見澤繁昌記）を編纂し了はんぬ。蓋し其内容に至りては過去三十年間の概要と現在の状態を聊か記したるものにして或は杜撰疎漏の謗りなきを保し難し、若し夫れ幸いに読者諸賢の垂教を賜らば後日更めて増補訂正をなすに吝かならざるべし。終わりに臨み特に記す可きは空知支庁長稲見貞蔵氏、町長高柳広蔵氏、鉄道院工場長林清憲氏、警察署長成田本一氏、駅長野田信櫂氏、支庁高井幸次郎諸氏の援助に依り幸に、本誌発刊するを得たるは感謝永く忘る能はざ所なり。

岩見澤の将来
本町は本道十一州中主要部分を占むる石狩原野中にありて、空知支庁管内四郡二十五ヶ町村は農業にまれ鉱業にまれ将た畜産にまれ其発達の著しき点に於いて全道を代表せり、而して吾岩見澤は斯の宝庫を所管する空知支庁の所在地なるを、鉄道四方に分岐して運輸交通上尤も優勝の位置を占むるにより従て商家相櫛し、停車場通、夕張通りを尤も殷賑の要街と為し、空知支庁あり、警察署あり、税務所あり、区裁判所派出所あり、町役場、郵便局鉄道院工場、庁立空知農業学校、諸会社に北海道銀行支店、北海道拓殖貯金銀行支店其他病院等都市としての設備至らざるなく、市街人口約一万、今や本道有数の都市とはなれり、試みに本町居住の官公吏員、鉄道吏員を含みて一ヶ年間に受くる棒給額を調査するに実に三十余万円の一強を占む、蓋し岩見澤の市況他町村に比較して凶作の影響少なきが如きも、畢竟棒給生活者多数なるに因るならん乎。聞く、鉄道管理局は現在の岩見澤機関庫を拡張して日本有数の大汽鑵庫たらしむべしと。又石狩川灌漑溝開？の調査も疾に実則に着手せり。今日まで放棄し置きたる不毛の大平原に？芒稲波張るも遠きにあらざらん、北村道路の改修は岩見澤商業区域の拡大を意味せずや、岩見澤市街地下に於ける水準下石炭採掘も十年を出でざるべしと、其他炭坑汽船の如き、三菱鉱業の如き、何れかの地を相して中央機械工場設立の計画ありと伝へられる、而して吾岩見澤町は己に大小幾十の炭坑を以て？？せられ居るが、上に本邦の炭坑王、三井、三菱の両会社及び其他の炭業者は本町附近の諸村に於て採鉱の準備中なれば、遠からず第二の三池も現出し、吾岩見澤町は之等、炭業者によりて何等かの施設を見るべき機運の到来を予測するに難からざるなり。恁く観じ来れば吾岩見澤町は更らにより、以上大に発展を期待し得べく、毫も悲観を要せざるに拘らず、世人動もすれば岩見澤は札幌に近きを以て発展の望み少しと云う、蓋し多少の理由なきにあらず、然れども都会に接近せる殷賑の地は内地府県に其実例多し単に札幌に近きを以て発展せずと断ずるは牽強付会なり、要するに岩見澤の発展せざりしは発展させざりしが為めのみ、換言すれば町民の自覚自奮に俟たざるべからず。今日までの如き荀安今日までの引込思案は絶対的禁物なり、外交も大に発揮するを要す、利己とか我利とか云う主義の専売権もあるならば之も速に抛棄するがよし、殊に商人としては薄利多売主義を以て顧客を吸収するが肝要ならん、起て岩見澤町民諸士岩見澤町民は今日に於て覚醒奮起し挙町市街の繁栄発達の鞭撻せざるべからず

◎柿本商店　岩見澤町に於ける金物商店の巨なるを柿本商店と為す、同店は取引盛大基礎堅固にして苟くも金物類に属する物品一として備はらざるなく、而かも低利を専一とし、顧客に対し懇切を極むるを以て有名なり、店主柿本恒二は和歌山県の人慶応二年を以て有田郡広村字上中野に生る、明治二十四年本道に渡航し、翌二十五年を以て現業を現住所に開く、斯くして氏の励精勤勉なる、次第に業務の隆盛を来し、卸売の受くるもの独り空知管内に留らず、遠く上川地方に及ぶの一事如何に取引の広ききを知に足るらん、氏又力を公共事業に盡し、今後岩見澤の発達に盡し入りては業務の経営に家事の盛大を期す柿本氏や真に男子の面目あると云うべし。

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附録　岩見澤商工人名録